父親。

2002年10月6日
なぜ帰省したのかは前々回に書いたと思うが、一応メインは父親の誕生会に出席する事だった。

グループホームで日々穏やかに暮らさせて頂いているが、娘の私にとって「同居」という方法を取れなかったことは心苦しく感じている。


それはそうと横において、ある土曜日のお昼12時からホームで父の誕生会は始まった。

最初は職員さんからの挨拶。

ホームでの父の生活ぶりに始まり、最後は父への感謝の言葉まで頂き、暖かさに溢れた挨拶だった。感謝。

そしてホームの方からのプレゼント。
今年は散歩好きの父のために、黒の帽子を選んで下さったという。

姉からは新しい枕。アザラシキャラクターの枕はその場で「タマちゃん」と言う名前をつけて貰った。

あまりに可愛い枕に父も少し戸惑った表情で、それがまた可笑しくて場が盛り上がった。

私からはグレーのジップアップトレーナー。
頂いたばかりの帽子との相性が抜群で、職員さんにも偶然を褒めてもらえた。

私からのプレゼントは、娘のバブから父の手に渡された。
孫から貰えた事に感激したのか、父の目から大粒の涙がこぼれた。

この日父は何度涙を流した事か。
本当に涙もろくなった。

ホームの方一人一人からお祝いの言葉を頂いたあと、私達姉妹からも一言と言われ、突然の事に何を話して良いのか解からず焦ったが、誕生日会を開いてもらった事への感謝と職員さんへの感謝、そして父親がこれからも健康で穏やかに過ごしていてくれる事を願っていると話した。

そして職員さん心づくしの食事を、皆さんと一緒に戴いた。

大葉と鮭のちらし寿司をはじめ、父のリクエストと言う唐揚げ、卵豆腐、そうめんのお吸い物、他にも沢山。

食べきれないほどの御馳走にこちらは驚くばかり。

ホームの生活を垣間見た気がして、皆さんに良くして頂いてるんだなーと、安心した。

参加させてもらって良かった。
はるばる大阪から出て来た甲斐があった。

私と父親は一緒に暮らしていた頃から色んな葛藤があり、お世辞にも仲の良い父娘だったとは言えないと思う。

酒びたりの父と何度言い争いをしたことか、数限り無いほどである。
その揚句に私は家を出た。

それでもこうして痴呆が進み、自分の身の回りの事にも他人の手を必要とするようになった父を見ていると、もうその怒りは無い。

私の人の親となり、親としての苦労も少しは味わい、育ててくれた父に感謝も出切る位には大人になったという事だろうか。

誕生日会が終わり自室に戻った父が、
「こんな盛大な誕生日会は初めてや」そう呟いた。

「去年もここでしてもろたやん」
姉がそう言ったが、父がその事を覚えていないのか、それとも姉妹2人が揃って参加した事がよほど嬉しかったのかは解からない。

願わくば後者の方だとあって欲しいが・・・。

少しでも場が華やげばと思い、私は着物を着て行った。

父の前で着物姿を見せるのは、夫との「結納」の日以来ではないだろうか。

あれから8年の歳月が過ぎたが、あの頃にはこうしてこんなに着物好きになるなんて、想像だにしていなかったな。(笑)


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