二者択一

2001年9月28日
人間万事塞翁が馬。
こんなかっこいいい言葉にしたら笑われちゃうな。
そんな大失態の一日。

朝から良く晴れたその日、私は久しぶりに(おいおい(^^ゞ)きちんと掃除をして、洗濯もして、お化粧なんかもしちゃったりなんかして。
って、あたりまえの事なんだけどね、普通の奥さんならね。

で、それから南千里のジャスコに買い物に出かけようとしてた。

私の家からジャスコまでは車で15分ほど。
いつもは旦那さんの車に乗っけてってもらうので、さして遠いとも思ってなかった。

で、気軽な気持ちで電車に乗っていくことにした。

十三で乗り換えて淡路まで。
そこで乗り換えて南千里へ、後は歩いてジャスコまで。

往復2時間とふんで、子供のお迎えまでに帰ってくるつもりで家を出た。

が、・・・やっちゃった・・・。

十三で河原町行きの特急に乗っちゃた。
停まると思ったのよぉ〜、淡路で。
でもでも、車窓から見える淡路の駅が遠ざかる〜〜〜〜・・・・。

特急の次の停車駅は茨木なのでした。(涙)

何を考えてたのか解らないんだけど、「ちゃんと座れたんだし、ま、良いかー。京都まで行っちゃう」
って、ホントいいかげんだけどそうおもちゃったんだな。
茨木で降りて淡路まで引き返すなんて考えもしなかった。

電車はそのままずんずん京都河原町に向けて走ってる。
なんだかどんどん自分の中で「楽しい」って言うか、うきうきした感情が湧いてきて、
河原町に着いたころには「さぁいくぞー!」って思ってた。

本当にうつ病か?私。

でも京都の地理には明るくない私。
どこへ行こうかと考えても、修学旅行お土産GETコースしか浮かんでこない。

そうだ!、新京極通りなら何とか解る。
何度か旦那と一緒に行ったから。

で、しばらく新京極通りをうろうろ。
そこでいかにも京都土産らしい小物を扱っているお店に入った。

ちりめん細工の小物や、清水焼の帯止め、京友禅の風呂敷。
色とりどりの小物で店内は一杯だった。

「ここで何か1つお土産を買っていこう。誰にと言うわけではないけれど、一人で京都まできた記念に」
ってな気持ちでその「何か」を探して店の奥へ奥へ・・・。

と、店の奥まで来ると、なにやら棚に畳まれたアンティークな布地が一杯。

わお!大好きな布地!

いそいそと駆け寄ってよく見ると、それは紛れもないちゃんと仕立てられた着物だった。

「今年の一月から置き始めたんですよ」
いつのまにか後ろに立っていた、20代半ばの優しそうな店員さんに声をかけられた。

「私も古着が大好きなんですよ」
そういって棚の着物を一枚一枚広げて見せてくれようとする。
いとおしそうに、みんなを見てあげてくださいといわんばかりに、一枚一枚。

「あ、銘仙ですね。」
私がそう言うと、店員さん嬉しそうに棚を見上げ
「ここまでまとまった数が入ってきたのは初めてなんですよ」とうっとり言う。

あーこの人も着物が好きなんだなー。
それだけでこの店員さんが好きになってしまいそうだった。

着物の一枚一枚に身丈と裄たけが書かれた札が付いている。
きちんとした仕事がしてあった。

その中で黒地に淡いオレンジ色の牡丹だか薔薇だか、どちらにも見えるような大ぶりの花柄のついた着物が目に付いた。

「あー、これいい!」
まさに私の好みジャストミート!と言う柄ゆき。

札を見ると身丈はぎりぎり。
多分おはしょりを出すのは難しいだろうと言う身丈。
裄は・・・問題ないだろう。

しつけ付きのきれいな着物。
銘仙だかどうだかははっきりしないが、でもそこに待っていてくれたような私の着物。

そうだ、これは私とこの着物との間に縁があったんだ。
自然にそう思えた。
インスピレーション。
そういうしか説明のつかない感情。

「これ、いただきます」
私は店員さんににっこり微笑んだ。

「気に入っていただけて嬉しいです」
店員さんもにっこり。

包んでいただいている間にもその店員さん、色んな着物を出しては見せてくれる。
私には着られないような子供の着物まで、すべてを私に見せてくれるつもりかと思う位。

なんだかすごく素敵な時間だった。


その店を出てから、「高島屋恒例大呉味の市」の垂れ幕が目に入ったのでそちらにも足を向けた。

人、人、人。
大盛況だったけれど、あちこちで引っ張られて袖が取れかかった羽織、着物の間をかいくぐって揉みくちゃにされた名古屋帯。

「同じ古着でも色んな末路があるんだな。」

2つの店の着物についてそんな風に感じた。


さて肝心のわが娘、高島屋についた時点で「お迎えは無理」と判断した私は幼稚園に電話をかけて延長保育をお願いしてしまった。
急いで迎えに行ったが、本人はさほど気にしていなかったようでほっとした。

ただ「どうして?」と急に延長保育になった理由を尋ねられた時、
「電車、乗り間違えちゃったの」と言う私の弁解に、???の顔をしてはいたが。(^^ゞ


さて件の着物。
今は我が家に飾ってある。

私が着るには少し手を入れなければならないだろう。

四十路間近で、子持ちの私には1尺8寸の袖丈はちょっと気恥ずかしい。

袖を切ってこの私の一丁羅になるか、それともあと10年ほど待ち、成長し娘盛りになった我が娘の初々しい肌に袖を通されるか。

この着物はどちらを喜ぶだろうか・・・・?

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